

起立性調節障害とは
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation、OD)は、自律神経の働きの異常によって起こる病気で、主に小児や思春期の子どもたちに多く見られる疾患です。
起立時に血圧や心拍数を適切に調節できず、めまいや立ちくらみ、動悸、倦怠感などの症状が生じるのが特徴です。
通常、成長期に見られることが多く、特に10~15歳ごろの思春期にかけて発症することが多いですが、成人にも発症する場合があります。
主な症状
起立性調節障害の症状は、以下のような自律神経の不調に関連したものが中心です。
立ちくらみやめまい
立ち上がった際に血圧が下がり、ふらつきやめまいを感じる。
特に朝の起床時に症状が強くみられやすく、午後から夜にかけて症状が改善することが多いです。
動悸や息切れ
急に心拍数が上がることによって感じる動悸や息切れ。
倦怠感や疲れやすさ
日常生活で疲労が溜まりやすく、朝が特に起きづらい。
頭痛や吐き気
自律神経の乱れによって頭痛や吐き気が起こることもあります。
集中力の低下
授業や勉強に集中できないことが多く、学業に影響が出ることも。
これらの症状は起床直後や朝方に悪化しやすく、午後から夜にかけて改善することが多いのも特徴です。
診断方法
起立性調節障害の診断には、十分な問診を行った上で、他の病気がないか調べるために以下の検査を行います。
起立試験
できるだけ午前中に実施します。ベッドで横になった状態から立ち上がり、その間の血圧や心拍数の変動を測定します。
一回で診断できないこともあるので、何回か行うこともあります。
血液検査
起立性調節障害に似た症状を起こす他の病気がないか確認します。
治療
生活改善や薬物療法、そして心理的なサポートが行われることが一般的です。
生活習慣の改善
適度な運動、十分な睡眠、一日三度の食事を摂るなど規則正しい生活リズムを守ることが大切です。
当たり前のようですが、これが治療の基本であり、重要なことです。
薬物以外で血圧を保つためにできること
水分と塩分の摂取を意識して増やしてもらいます。
意外と毎日続けることは大変ですが、薬物治療の効果を上げるために必要なことです。
薬物療法
症状に応じて血圧を下がらないようにする薬や、自律神経のバランスを整える薬を使用することがあります。
漢方薬を使うこともあります。
心理的なサポート
心理的な要因が症状に影響を与えている場合には、カウンセリングなどのサポートが効果的です。
その場合は、必要に応じて精神科へ紹介することがあります。
受診の目安
起立性調節障害は、成長期に一時的に見られることもありますが、症状が日常生活や学業に支障をきたしている場合は受診を検討しましょう。
単に体質的なものや気持ちの問題として見過ごされがちですが、家族や学校など周囲の人達が病気のことを正しく理解し、サポートすることが重要です。
お子さんにこの病気に似た症状があれば、医療機関を受診して相談して下さい。
最後に
起立性調節障害は、生活習慣の改善や内服薬による治療を行っても、なかなか症状の改善がみられにくく、時間を要することがしばしばみられます。
しかし、少しでも症状の改善があれば、一歩前進しているという気持ちで、がまん強く向き合うことが大切です。
成長に伴って徐々に改善する場合もあります。
あせらずにゆっくり時間をかけて治療を継続しましょう。