

お子様が風邪をひくと、食欲がなくなったり元気がなかったりと、親として心配になりますよね。
風邪は大人にとっては軽い症状で済むことも多いですが、免疫力がまだ発達途上にある子供の場合は症状が悪化することもあり、注意が必要です。
このコラムでは、お子様の風邪の原因や症状、考えられる疾患、そしてご家庭での対応について詳しく解説いたします。
風邪の原因
風邪の原因の多くはウイルス感染です。
それぞれの季節でほぼ毎年流行するウイルスがあり、特に幼児では1年を通して何回も風邪にかかることが多いです。
また、保育園や幼稚園、学校など、集団生活の場では、どうしても感染リスクが高まります。
さらに、乳幼児では手洗いなどの感染対策を十分にできないことが多く、これも感染症にかかりやすい要因の一つです。
風邪の症状
風邪の症状は、一般的に以下のようなものがあります。
発熱
風邪に伴う発熱は、通常37.5℃から38℃程度ですが、インフルエンザなどでは39℃前後に達することもあります。
高熱か微熱かだけで重症かどうか判断できません。
また、高熱だからという理由だけで、脳に障害が起きることはありません。
鼻水や鼻づまり
ウイルスなどの感染により鼻粘膜が炎症を起こし、鼻水や鼻づまりの症状がみられます。
初めからみられることもありますが、感染初期よりも後半にかけて目立つようになることが多いです。
喉の痛み
喉の粘膜や扁桃腺に炎症が生じて、痛みを伴うことがあります。
咳
鼻水が増加して喉に垂れ込むように落ちてくると、痰の絡んだ咳がみられます。
また、咽頭よりも下にある気管などに炎症が生じた場合も、気管の粘膜が荒れて、分泌物が多くなり、咳がみられるようになります。
感染してしばらくしてから、乾いた咳から痰の絡んだ咳に変化することが多いです。
だるさや食欲不振
発熱によって体力が消耗し、元気がなくなり、食欲も低下することが多いです。
考えられる疾患
一言で風邪と言っても、その原因となるウイルスの種類は非常に多く、初めの症状は似ていることも多いため、すぐに診断できないことがあります。
また、10-15分程度で調べることができる迅速検査といわれるものがありますが、調べることが可能な感染症はごく一部であり、なおかつ検査のタイミングなどの影響も受けるため、検査をしてもすぐに特定できないことも多いです。
インフルエンザ
必ず典型的な症状がそろう訳ではありませんが、繰り返す高熱のほか、咽頭痛などの上気道症状、嘔吐などの消化器症状、筋肉痛や関節痛、強い全身倦怠感などを様々な症状が伴うことが多く、一般的な風邪とは少し異なる症状がみられやすいです。
RSウイルス感染症
どの年齢のお子さんでもかかりますが、症状がひどくなりやすいのは乳幼児です。
初めは軽い風邪症状がみられますが、数日すると鼻水と鼻閉がひどくなり、喘息のような咳がみられることがあります。この状態を細気管支炎と言います。
溶連菌感染症
発熱や喉の痛み、蕁麻疹などの皮疹が出ることもある感染症です。
ウイルス感染ではなく細菌感染なので、抗生剤による治療が必要ですが、治療の反応は良好です。
何度か繰り返して感染することもあります。
アデノウイルス感染症
扁桃腺炎や結膜炎の原因となることが多く、発熱や喉の腫れ、目の充血などが見られます。
インフルエンザウイルスと同じくらいの高熱がみられることも多く、やや経過も長い傾向があります。
また、胃腸炎の症状がみられることもあります。
新型コロナウイルス感染症
発熱、咳、倦怠感など、他の感染症と似た風邪症状を引き起こしますが、現在は症状の個人差が大きく、とても軽い症状で経過することもあります。
感染力はインフルエンザウイルスよりも強く、集団感染を起こしやすいです。
ご家庭での対策
水分補給
発熱や食事量の減少などで体内の水分が失われがちですので、こまめな水分補給を心がけましょう。
食事が摂りにくい場合は、経口補水液の摂取をお勧めします。
栄養のある食事
無理に食べさせる必要はありませんが、消化が良く、栄養バランスの取れた食事を摂るようにしましょう。
十分な休養
体力を回復させるためには安静が必要です。
特に高熱などでしんどい場合は無理をせず、しっかりと休養しましょう。
保湿
部屋の空気が乾燥しないよう加湿器などで湿度を保つと、喉や鼻の粘膜が乾燥を防ぎ、症状を和らげることが期待できます。
受診の目安
- 38度以上の高熱が数日以上続く場合
- 呼吸が苦しそうな場合
- 咳がひどく、眠れないほどの状態が続く場合
- 元気がなく、ぐったりとして、食事や水分がほとんど摂れない場合
- 呼びかけなどに反応が普段と異なり、意識障害が疑われる場合
いつもの様子と違って、心配なことがあれば、遠慮なく相談して下さい。