

過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群は、胃腸の炎症やその他の病変がないにもかかわらず、腹痛やお腹の不快感、便秘や下痢といった消化器症状が長期間にわたって不規則に繰り返してみられることが特徴的です。
大人に多い疾患として知られていますが、実は軽症例も含めれば小学生以降の子どもにも比較的多くみられます。
特に、ストレスや緊張感を感じやすい子どもや、生活リズムが乱れがちな子どもにみられやすい傾向があります。
主な症状
個人差があるので、すべての症状がそろわないことも多いですが、以下のような症状がよくみられます。
腹痛
お腹の痛みが不規則に繰り返しみられることが多いです。排便によって軽減することもあります。
腹部不快感
腹痛まで至らなくても、断続的に不快感がみられることがあります。
便通異常
下痢が中心となる場合が多い印象ですが、便秘と下痢を不規則に繰り返すこともあれば、便秘が中心になることもあります。
腹部膨満感
簡単に言うとお腹が張った感じです。ガスがたまって張っている状態です。この状態が続くことで、不快感や苦痛を生じることがあります。
いずれの症状も、何らかのストレスがきっかけになって、悪化することがしばしばみられます。
診断方法
お子様の過敏性腸症候群を診断するためには、症状や生活環境、精神的な要因などを確認して、総合的に判断します。
また、必要に応じて以下のような検査を行うことがあります。
問診による生活習慣や日常生活の確認
日常の生活リズムや食生活、家庭や学校での状況、普段の排便状況などに関して詳しく確認します。
便検査
便の培養検査や腸に炎症が生じているときに増える成分がないかを確認し、細菌感染や持続して炎症を起こす他の疾患がないか確認します。
血液検査
炎症性腸疾患やアレルギーの有無などを確認するために血液検査を行います。
治療
過敏性腸症候群の治療は、生活習慣の改善とストレス管理が重要です。
症状が強い場合には、薬物療法を併用することもあります。
食生活の改善
基本的にはバランスの良い食事を摂取するように心がけて、便の状態によって食事内容を調節して頂くようにします。
下痢が目立つ場合は、脂肪分や香辛料の多い食事は避けることが推奨されます。
便秘傾向であれば、水分や食物繊維の多い食材を摂ることを勧めます。
ストレス管理
リラックスできる時間や趣味を取り入れ、学校や家庭でのストレスを軽減することが大切です。
親子で話し合い、子どもが抱える不安や悩みを理解し、サポートすることも重要です。
薬物療法
症状にあわせて、便の水分量を調節する薬や腸の運動を整える薬など投与します。
痛みが強い場合に頓服で使える鎮痛剤を併用することもあります。
治療に関して前もって知っておいて頂きたいのは、いずれの治療を行っても、なかなか改善しない場合があります。
風邪のように薬を飲んで時間がたてば、1週間ほどで完治するような病気ではありません。
数年にわたって治療を続けていることも多いです。
少しでも症状が改善するところがあれば、以前よりも前進していると捉えて、腰を据えて治療を継続することが大切です。
受診の目安
過敏性腸症候群は一過性の症状として現れることもありますが、症状が数週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合には医療機関の受診をおすすめします。
特に、学校生活など日常生活に悪影響を与えている場合や、食事を摂ることに支障がみられる場合は、早めにご相談ください。