

気管支喘息とは
気管支喘息は、気管支が慢性的に炎症を起こし、気道が外からの様々な刺激によって発作的に気道狭窄が生じて、喘鳴・咳嗽発作・呼吸困難がみられる疾患です。
風邪をひくこと、気温の変化、ホコリや煙を吸い込むなどの環境要因によって発作が誘発され、発作的に繰り返す咳、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸音)などの症状が現れます。
喘息は小児期に発症することが多く、年齢や地域によって違いはありますが、日本ではおよそ10人に1人の割合で喘息がみられます。
子どもの喘息は成長とともに軽快することもありますが、大人になっても症状が続く場合もあり、適切なケアが必要です。
主な症状
咳
夜間や明け方に強くみられることがあります。
風邪をひくと咳が長引きやすく、喘息発作のきっかけに/なることも多いです。
喘鳴
息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえることがあります。
これが「喘鳴」であり、空気の通り道である気道が狭くなっているために起こる症状です。
息苦しさ
息を吸ったり吐いたりするのが難しくなり、呼吸困難感がみられます。
肩で息を吸うような感じや呼吸が苦しくて横になれないといった症状がみられることもあります。
胸の不快感
息苦しさや咳に伴い、胸に違和感や不快感を訴えることがあります。
考えられる疾患
気管支喘息と似た症状を引き起こす疾患には以下のようなものがあります。
気管支炎
ウイルスや細菌感染によって気管支が炎症を起こし、咳や痰が出ることがあります。
喘息でみられる喘鳴とは異なり、感染に伴う一時的な咳であることが多いです。
アレルギー性鼻炎
鼻水やくしゃみ、鼻詰まりに加え、気道が狭くなり喘息のような症状が現れることもあります。
細気管支炎
風邪をひいた時に気道が過敏になって喘鳴や息苦しさが起こることがあります。
特にRSウイルスやヒトメタニューモウイルスなどに感染した時に起こる細気管支炎という状態では喘息に似た症状がみられやすいです。
他のウイルス感染でも似た症状がみられることがあります。
上記のいずれの疾患も気管支喘息の症状に似ていますが、その後も喘鳴を繰り返し起こすか、喘息の治療薬を使ってみて効果があるかなど確認して、本当の喘息か区別します。
診断方法
お子様の気管支喘息を診断するために、これまでの症状の経過、家族歴、アレルギーの有無などを確認して総合的に判断します。
必要に応じて、以下の検査を行うこともあります。
聴診
診察時に呼吸音で喘息発作時にみられる喘鳴が聞こえるかを確認します。
ピークフローメーター
ピークフローメーターという道具を使って、息を吐き出すときの気流速度(これがピークフローにあたります)を測定し、気道が狭くなっているかをチェックします。
アレルギー検査
この検査だけで確定診断できる訳ではありませんが、血液検査で、ダニ、ハウスダスト、花粉など喘息の原因となるアレルゲンに過敏性があるかどうか確認します。
治療
お子様の気管支喘息の治療は、発作が起こらないように維持するための「長期管理薬」と、発作が起こった時に使う「発作治療薬」があります。
長期管理薬
吸入ステロイド薬などが使われ、気道の炎症を抑えて症状の発作頻度を減らす目的があります。
毎日定期的に使用し、症状が安定させるようにします。
発作治療薬
発作が起きた時に使用する薬で、短時間で気道を広げて症状を緩和します。一般的には気管支拡張薬の吸入を行います。
生活習慣の改善
発作の原因となるアレルゲンの除去や風邪の予防を行います。
吸入アレルゲンであるハウスダストやダニを減らすために、寝具の洗濯や部屋の掃除をできるだけこまめに行います。
また、受動喫煙に避けたり、必要に応じてペットとの接触に配慮することも推奨されます。
受診の目安
気管支喘息は適切な管理によって症状を抑えることが可能ですが、以下のような場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 咳発作や喘鳴が週に数回以上ある
- 夜間の咳が続いて睡眠を妨げている
- 運動時に息苦しさや連続する咳が出る
- 発作時に使用する薬が効きにくくなってきた、もしくは何度も使う必要がある
気管支喘息は発作を予防することが大切です。必要に応じて治療計画を見直します。
気になる場合はご相談ください
気管支喘息は、適切な治療の継続と生活管理が重要です。
定期的な医師の診察や長期管理薬の使用により、発作の頻度を減らし、日常生活での支障を少なくすることが可能です。
お子様の咳や息苦しさが続く場合は、早めの受診と適切な治療を心がけてください。